PERSPECTIVE

2024年04月26日

中国企业透视~浙江菲诺食品有限公司

作者:上海日系食品研究会 严伟

一、健康创新:将椰基产品从小众带到主流

在当前全球健康饮品市场迅速增长的背景下,浙江菲诺食品有限公司以其独特的产品定位和创新精神,在短短几年内崭露头角,成为椰基产品的领军品牌。

成立于2015年的菲诺,由具有前瞻性的创始人张凯领衔,是一家专注椰基植物奶研发、生产与销售的品牌企业。目前已发展成为一个椰基全产业链公司,已形成以“原料、研发、生产、销售和品牌管理”为核心的五大竞争力。

菲诺将传统的椰子元素与现代消费者的健康意识相结合,创造出了极具市场影响力的“厚椰乳”产品。这一创新不仅满足了现代消费者对健康饮食的追求,还成功将椰基产品从小众市场推广至主流消费层面。

 

二、革新的市场洞察力

时间回溯到2014年,张凯正在从事户外用品的进出口贸易,并且因业务需要与多家食品饮料企业保持合作关系,逐渐对该行业产生了深入的理解。他注意到西方国家在植物奶的研发和市场推广上,远远领先于中国,而且这种植物基饮品在西方因其健康和环保的属性而广受欢迎。相比之下,中国的植物奶市场几乎是一片未被开垦的土地,潜力巨大。

据东兴证券的《植物蛋白饮品系列报告》显示,全球乳糖不耐受人群的比例差异显著,亚洲人的乳糖不耐受率高达95%,远超北欧的2%-15%和美国白种人的6%-22%。这一数据表明中国市场对植物奶的需求尤为迫切。随着国内消费者对健康饮食认识的提高,对植物奶的接受度和需求正在稳步增长,市场发展前景广阔。基于这些洞察,张凯决定回国创立一家专注于植物奶产品的企业。

 

三、满足不同使用场景的产品创新

在新产品开发方面,菲诺始终保持着高度的市场敏感性和创新能力。

“厚椰乳”无疑是菲诺最具影响力的创新之一。它迅速改变了中国饮品市场的面貌,特别是在连锁咖啡店和茶饮市场中。由于其独特的浓厚口感和健康的品质,厚椰乳不仅满足了消费者对新口味的探索欲,还引领了椰奶作为新型饮品基底的潮流。

(图1:菲诺品牌代表产品厚椰乳,来自公司官网)

除了厚椰乳之外,菲诺还推出了一系列其他椰基产品,如椰子水、椰基奶油和椰基果泥,这些产品进一步丰富了公司的产品矩阵,并吸引了更广泛的消费群体。

椰子水因其清新自然的口感和较低的热量,成为了健康意识强烈消费者的新宠,特别是在年轻人和健身爱好者中非常受欢迎。菲诺的椰子水产品在市场上的定位为“高端而平价”,使得它在价格敏感的消费者中也能获得广泛的接受。

椰基奶油和椰基果泥则是菲诺针对烘焙市场和餐饮行业的特定需求而开发的产品。这些产品不仅提高了菲诺在B端市场的竞争力,还通过与食品制造商和烘焙师的合作,推动了椰基产品在更多的消费场景中的应用。特别是椰基奶油,以其植物基成分和无乳糖的特性,成为了乳糖不耐受者和寻求植物替代品的消费者的理想选择。

其推出的“小菲诺”系列,如零糖小椰乳和生椰小拿铁,特别针对“随身饮用”和“健康低糖”这两大消费趋势。这些直饮产品不仅方便消费者在任何场合享用,还通过甜味剂的精心选择,确保了产品的健康属性。

 

四、从源头控制产品质量

菲诺作为一家领先的椰基植物饮品品牌,其供应链的建立和优化是其业务成功的关键。从选择优质的椰子原料开始,到最终产品的生产和分销,菲诺坚持通过科技和创新来提升整个供应链的效率和效果。

菲诺的供应链建设始于对原材料的严格选择。菲诺主要在东南亚地区,特别是泰国和越南采购椰子,这些地区以其优质的椰子资源而闻名。菲诺与当地椰农建立了直接合作关系,确保从源头控制原材料的质量,同时也通过合作帮助当地椰农提升种植技术和生活水平。

菲诺的供应链不仅限于原材料采购,还包括生产、库存管理、物流和分销的整合优化。公司运用先进的ERP系统来管理订单、库存和物流信息,实现数据的实时更新和准确分析,从而有效减少库存成本,加快市场响应速度。

海南文昌工厂的建设是菲诺供应链优化战略的一部分。该工厂位于椰子产量丰富的海南岛,地理位置的优势使其成为原料采集和加工的理想地点。该工厂不仅能够利用当地丰富的椰子资源,还通过最新的生产技术,提高生产效率,降低运输和储存成本。

菲诺在技术创新方面不断突破,特别是在生产工艺和产品质量控制上。公司采用先进的UHT杀菌技术,有效延长了产品的保质期同时保持了椰子水的天然风味。此外,菲诺还研发了一系列的混合榨汁技术,将椰子肉和椰子水的比例进行优化,创造出口感更佳的厚椰乳和其他椰基产品。

(图2:菲诺产品打包车间,来自公司官网)

五、BC一体化的销售战略

菲诺自成立以来,主要作为B端企业为咖啡和茶饮市场提供高品质的椰基产品,特别是其革命性的厚椰乳。然而,近年来,菲诺不仅在B端市场取得显著成就,也成功实现了向C端市场的转型,逐渐形成BC一体化的销售体系。

据欧睿信息咨询公司的详细统计,2022年菲诺的厚椰乳在中国内地市场的全渠道销量达到99,429吨,占据了市场份额的29.2%,夺得全国销量冠军,远远超越第二名近70,000吨。根据这一销量,菲诺厚椰乳足以调制出高达6亿杯标准生椰拿铁,展现了其在市场上的独特魅力和不可比拟的优势。更为印证其行业地位的是,2022年的营收额已突破10亿元(约合200亿日元)大关,同时成为了超过150,000家线下咖啡、茶饮门店的首选供应商,包括占有80%市场份额的头部咖啡品牌,包括星巴克和瑞幸咖啡等。

同时,在C端,菲诺积极利用抖音、小红书、B站等平台与消费者直接交流,激发了DIY文化热潮。由菲诺生产的厚椰乳制成的生椰拿铁在网络上广受好评,带动了其电商销量的显著增长,成功穿透了C端市场。这一战略不仅实现了产品在咖啡馆、家庭以及随身携带场景的全面应用,也实现了企业B端和C端的双向促进。这种全面的市场覆盖策略有效推动了菲诺在2021年和2022年的业务收益实现了显著的翻倍增长,标志着菲诺在椰基饮品领域的突破和领先。

通过这些策略和合作,菲诺成功地从一个主要服务B端市场的供应商,转变为一个在消费者心智中有明确位置的品牌。这种B端到C端的转型,不仅为菲诺打开了更广阔的市场空间,也提升了其品牌影响力和市场竞争力。通过持续的产品创新和市场扩展,菲诺正在成为一个真正意义上融合B端和C端优势的企业。

 

六、市场认知来自于小红书博主的意外“曝光”

2021年4月,瑞幸咖啡推出的“生椰咖啡”迅速捕获消费者的胃口,月销量激增至超过1,000万杯,一度引发了“生椰拿铁售罄”的现象。在这波热潮中,菲诺这个原本默默无闻的原料供应商意外走入公众视线,得益于小红书上的博主“曝光”瑞幸使用的椰乳来自菲诺。

菲诺,从一个背后默默提供B端餐饮服务的供应商,通过一种非常规的冷启动策略,成功地站到了消费者的前台,受到了市场的高度关注。

菲诺的市场策略与常规的高投入广告推广截然不同,菲诺品牌负责人张犁表达了对过度依赖网红效应的担忧,强调回归产品本质,专注于质量和消费者体验。

菲诺公司将品牌营销战略转变为创造互动性话题,激发消费者主动生成内容,通过这种方式培育和激活种子用户,从而实现品牌破圈和用户增长。在这方面,小红书成为了孵化种子用户最有效的平台。菲诺利用消费者的日常呼声,如“买不到生椰的第N天”,激发他们在家尝试不同的食谱,从而不仅满足了自制饮品的愿望,还推动了消费者创造出新的使用场景,这样一来,产品的使用范围就从传统的咖啡伴侣扩展到了可以自饮和调饮的更广泛消费者市场。为了进一步扩大品牌影响力,菲诺采取了公开招募和免费发放样品的策略,以此覆盖广大的笔记作者群体,并鼓励他们分享真实体验和意见,这种真实的用户生成内容极大地增强了品牌的传播力。

通过这些策略,菲诺不仅将瑞幸咖啡带来的热潮转化为自身的增长动力,还成功地识别并培养了一群核心消费者,即关键意见消费者(KOC),他们的社交影响力进一步帮助菲诺实现了品牌和产品的成功破圈。

 

七、制定行业规范,创造更大的可能性

菲诺在椰乳产业的发展中,不仅注重自身产品的创新与市场扩张,还积极推动整个行业的规范化和标准化。2023年3月23日,菲诺与中国热带农业科学院椰子研究所及其它椰基上下游企业共同发起了《椰乳》团体标准,旨在设立椰乳生产和质量的行业标准。这一标准覆盖了原辅料要求、感官特征、理化指标、微生物标准以及生产加工过程卫生要求等方面,为椰乳产品的质量控制提供了明确的指引。通过这一举措,菲诺不仅增强了自身在椰基市场的竞争力,也为整个行业的健康发展奠定了基础,推动了椰乳及相关产品的品质提升和市场信任度增强。

(图3:菲诺与其他企业团体共同发布椰乳团体标准)

 

八、菲诺的机遇与挑战

根据《2022年中国饮品行业产品报告》显示,在取样的40个新茶饮品牌中,椰乳使用频次占据榜首,有37个品牌上新了椰子元素产品,占全部取样品牌的92.5%。另据头豹数据显示,预计未来椰汁液体饮品市场规模在2026年可达到213.6亿元。
菲诺的成长故事是对创新和品质执着追求的生动体现。在张凯的领导下,菲诺不断探索和突破传统椰子产品的局限,开发出适应各种消费场景的椰基新品,从而极大地丰富了市场的产品种类,并推动了植物基饮品市场的多元化发展。菲诺的成功,不仅仅体现在其产品的普及,更在于其如何通过持续的创新与精细的市场洞察,赢得了消费者的广泛认可和业界的高度评价。

在当前的消费品市场,B端到C端的转变以及原料供应商的品牌化是显而易见的趋势,消费者现在更加精明,他们不仅仅满足于流行品牌的表象,而是深入到生产背后,寻找那些为知名品牌生产原料的代工厂,从而购买性价比更高的同质产品。这种市场行为的转变为那些原本隐藏在行业背后的B端企业带来了曝光的机会。

尽管B端企业拥有供应链的优势,但这并不意味着他们可以轻松打造出强势品牌。B端业务通常难以培养深厚的品牌忠诚度,而一旦建立起护城河,品牌的运营会变得相对简单。相反,C端业务需要与广大消费者建立深入的交流,这在与众多竞争品牌的竞争中尤为重要,以免失去市场方向。正因为如此,虽然菲诺在B端和C端的业务中都看到了更广阔的发展空间,但它面临的挑战也随之增多。未来,菲诺如何在这两个领域之间找到平衡,将是一个关键的问题。

 

参考来源:

●菲诺椰乳官网 ●FBIF食品饮料创新:菲诺:拿流量做品牌,我们不愿意,也不认可 ●TopMarketing:自带吸睛体质,菲诺的反差营销搅动了谁的DNA? ●食品内参:把厚椰乳做到全国销量第一之后,菲诺的下一个增长曲线在哪儿? ●36kr:菲诺创始人张凯:菲诺椰基植物饮 从“适者生存”到“强者生存”丨WISE2022「适者生存」新消费峰会 ●澎湃新闻:菲诺厚椰乳销量领先,多元创新椰基产品提升消费新动能

 



【日本語】

 

Ⅰ. ヘルシーイノベーション:ココナッツ製品がメインストリームへ

世界的な健康飲料市場の急成長を背景に、浙江菲諾食品有限公司は独自の商品ポジショニングと高度な品質・生産管理で、わずか数年でココナッツ製品のトップブランドとして頭角を現した。

2015年に設立された菲諾(fēi nuò)は、先見性のある創業者張凱(zhāng kǎi)が率いる飲料メーカーで、ココナッツベースの植物性ミルクの研究、開発、生産、販売、ブランド管理を行っている。

菲諾は、ココナッツ本来の特徴を活かしつつ、現代消費者の健康意識に対応し、ココナッツ飲料市場に新しい風を吹き込んだ。最近の中国では、ココナッツ系の飲料をスーパーやコンビニエンスストア、ティースタンドなど、至るところで目にするようになっている。彼らは、現代消費者の健康的な食生活の追求というニーズに応えるだけでなく、ココナッツ製品をニッチな嗜好品からメジャーで手軽な飲料の一種として市場に浸透させた。

 

Ⅱ. 創業の経緯

菲諾の設立前年にあたる2014年、張凱はアウトドア製品の輸出入貿易に従事しており、仕事上多くの食品・飲料メーカーと協力関係を維持する必要があったため、次第に食品飲料業界について深く理解するようになった。彼は、欧米諸国が植物性ミルクの研究開発・販売において中国よりはるかに先を行っていること、また欧米では植物性飲料が健康や環境に良いという特性から人気があることを知った。対照的に当時中国では植物性ミルクは全く注目されておらず、ほぼ手付かずの地であった。

東興証券の「植物性飲料に関するレポート」によると、乳糖不耐症の人の割合は地域により異なり、アジア人の乳糖不耐症率は95%で、北欧の2〜15%やアメリカ白人の6〜22%を大きく上回っている。このデータは、中国市場において植物性ミルクの市場拡大が急務であることを示唆している。中国国内の消費者が健康的な食生活を意識するようになるにつれ、植物性ミルクの受け入れと需要は着実に伸びており、市場拡大の真っ最中だ。そのような背景から、張凱は中国に戻り、植物性ミルクに特化した会社を設立することを決意した。

 

Ⅱ. 商品開発へのこだわり

菲諾は、新製品の開発において、市場に対する感度の高さと革新性を重視している。

主要プロダクトである「厚椰乳(濃厚ココナッツミルク)」は、彼らが実現したイノベーションのひとつであるといえる。この商品は、中国の飲料市場、特にコーヒーショップチェーンやティースタンドチェーンの商品ラインナップに大きな変化を与えた。ただ単に新しい味の飲料を楽しむという短期的なニーズではなく、消費者の健康志向にも合致した上に独特な濃厚な味わいが好まれたことから、牛乳と並んでコーヒーやティーと組み合わせる選択肢のひとつとなった。そのトレンドを菲諾の「厚椰乳」は先導している。

(図1:左は菲諾の主要プロダクトの「厚椰乳(濃厚ココナッツミルク)」・右は飲み切りサイズのココナッツラテ、出所:公式サイト)

「厚椰乳」以外にも、菲諾はココナッツウォーター、ココナッツクリーム、ココナッツピューレなど、ココナッツをベースとしたさまざまな商品を発売し、幅広い消費者層に訴求している。

ココナッツ飲料は、その爽やかで自然な味わいとカロリーの低さが健康志向の消費者に刺さり、特に若者やフィットネス愛好家の間で新たな人気商品となっている。菲諾のココナッツ飲料は「高品質でありながら手頃な価格」で販売されており、消費者に広く受け入れられている。

ココナッツクリームとココナッツピューレは、レストランやベーカリーショップに卸すために開発された。これによりBtoBビジネスにおける菲諾としての競争力を向上させただけでなく、食品メーカーやベーカリーとのコラボレーションを通じて、様々なシーンで消費者にココナッツ商品を手に取ってもらいやすくなった。特にココナッツベースのクリームは、植物由来成分で乳糖を含まないため、乳糖不耐症の消費者や植物由来の代替品を求める消費者にとって理想的な選択肢のひとつとなった。

その後、飲み切りサイズのココナッツラテや低糖質ココナッツミルクも発売された。消費者トレンドを反映し、どんな場面でも楽しめる便利なサイズにしただけでなく、甘味料を厳選することで商品の健康性にも気を使っている。

 

Ⅲ. 徹底された品質管理

菲諾がココナッツ系飲料のトップブランドにまで登り詰められた背景には、サプライチェーンに対する徹底的な最適化と管理がある。高品質のココナッツ原料の選別から始まり、最終製品の生産と流通に至るまで、サプライチェーン全体の品質管理にこだわっている。

彼らは主に東南アジア、特にココナッツが高品質で有名なタイとベトナムで原料となるココナッツを調達している。菲諾は原材料の品質管理を徹底するため、現地のココナッツ農家と直接協業をしており、調達先での品質管理指導に加え、現地のココナッツ農家の栽培技術と生活水準を向上できるよう支援している。

菲諾のサプライチェーン最適化は原材料の調達だけでなく、生産、在庫管理、物流、流通の統合や最適化も含まれる。彼らは先進的なERPシステムを使って注文、在庫、物流情報を管理し、リアルタイムのデータ更新と正確な分析を実現することで、在庫コストを最小限にし、市場の需給状況に迅速に対応している。

海南省文昌工場の建設は、菲諾のサプライチェーン最適化の一環である。ココナッツが豊富な海南島に位置するこの工場は、地理的に原料の集荷と加工に適した場所である。この工場は、海南の豊富なココナッツ資源を活用できるだけでなく、最新の生産技術によって生産効率を向上させ、輸送・保管コストも削減している。

また彼らは、特に商品生産工程と品質管理において、常によりよいレベルを目指している。現在、工場では高度なUHT殺菌技術を採用し、ココナッツの自然な風味を維持しながら商品の保存可能期間の最大化に努めている。ココナッツミルクやその他のココナッツベースの商品の美味しさ追求にもぬかりなく、ココナッツ果実とココナッツウォーターの比率を最適化するハイブリッド・ジューサー技術を自社で開発した。

(図2:菲諾工場のパッキング工程、出所:公式サイト)

 

Ⅳ. BtoBビジネスからBtoCビジネスへの進出

創業以来、菲諾はBtoBビジネスを主軸として、コーヒー・ティー飲料市場を中心に高品質のココナッツベース製品を供給してきたが、近年BtoCビジネスへの進出にも成功している。

Euromonitorの統計によると、2022年の中国本土市場における菲諾の厚椰乳(濃厚ココナッツミルク)の全チャネル総販売量は9万9429トンに達し、市場シェアの29.2%を占め、2位以下を7万トン近く引き離して全国販売量の首位を走っている。約10万トンの厚椰乳というのは、通常のココナッツラテを6億杯分作ることができる計算になる。販売量と連動して、2022年の売上高は10億元(約200億円)の大台を突破した。また、コーヒー市場シェアの80%を占めるコーヒーブランドであるスターバックスやラッキンコーヒーなどを含む、15万以上のオフラインのコーヒーショップ・ティースタンドのメインサプライヤーになっている。

一方、BtoCビジネスという面では、菲諾はTiktok、RED、BiliBiliなどのプラットフォーム上で消費者と積極的にコミュニケーションをとり、厚椰乳の自宅消費を後押ししている。実際に、厚椰乳で作ったお家ラテはSNS上で大人気となり、Eコマースの売上を大幅に伸ばした。BtoBビジネスのみだった彼らがBtoCビジネスの進出に成功したと言える。

この成功の背景には、すでにBtoBビジネスにおいて消費者が日常的に利用するコーヒーショップやティースタンドで厚椰乳を使った飲料が多く存在し、消費者の目についていたため、受け入れやすかったことがある。同時に、BtoCビジネスにより厚椰乳が消費者の中で浸透し始めると、BtoBビジネスにおいてもさらに引き合いが増え、相乗効果が生まれる結果となっている。BtoBとBtoCの両面において確固たる地位を築いたことで、2021年と2022年の売上高は飛躍的に増加した。

これらの戦略と実践により、菲諾は単なる飲食店へのサプライヤーではなく、消費者の心に明確な位置を占めるブランドへの転換に成功した。ブランドの影響力と市場競争力を強化しただけでなく、市場自体を拡大したのだった。

 

Ⅴ. BtoCビジネス成功のきっかけ

ここで一度、菲諾がどのようにして効果的にBtoCビジネスに進出・拡大できたのかを見てみる。

2021年4月、ラッキンコーヒーが「ココナッツラテ」の販売を開始し、ココナッツラテは瞬く間に消費者の中で話題となった。月間売上杯数は1000万杯以上にものぼり一時は「ココナッツラテ売切れ」現象を引き起こすほどだった。このブームのさなか、RED上であるインフルエンサーによってラッキンコーヒーが使用しているココナッツミルクが菲諾社のものであることを暴露された。これにより、無名のサプライヤーであった菲諾が世間に認知されることになったのだ。

菲諾のマーケティング戦略は、通常の莫大なコストをかける広告宣伝ではない。菲諾のマーケティング責任者は、KOLなどのインフルエンサーに過度に依存したマーケティング手法は本質的ではないと考え、商品自体の魅力や消費者体験を重視した。双方向的な話題作りとユーザー自身によるコンテンツ生成を増加させる戦略をとった。この点において、REDは最適と考えられ、最も注力されたプラットフォームであった。

先述のラッキンコーヒーの厚椰乳を使った「ココナッツラテ」が売切れてしまった際、REDでは「买不到生椰的第N天(意味:ココナッツラテが買えなくなってN日目)」といった投稿が流行った。ラッキンコーヒーで飲みたかったココナッツラテが買えないので、自分で厚椰乳を買ってお家ラテを楽しむという内容だ。それぞれがその作り方などをまとめてRED上で投稿している。その後、ラテだけでなく、様々なドリンクとの組み合わせや飲み方が消費者自身によって作られた。

(図3:RED上のユーザー投稿)

このように、消費者との接触ポイントは、コーヒーショップでのラテ購入と限られたところから、自宅用の組み合わせ自在のドリンクになり、厚椰乳の飲用シーンは大幅に拡大した。菲諾はリーチをさらに拡大するため、厚椰乳の無料配布キャンペーンを実施し多くのユーザーに厚椰乳を使った自作ドリンクを考案するよう促した。RED上の消費者は自身の作った厚椰乳ドリンクを投稿し、それが自然と厚椰乳のブランドを強化していった。

このような戦略で、菲諾はラッキンコーヒーの売切れがきっかけとなって生み出された自社に関する話題をそのまま自社の成長エンジンに変えただけでなく、消費者の中核グループであるKOC(Key Opinion Consumers)の特定と育成にも成功した。この一連のマーケティング活動が、菲諾のブランドを確固たるものにし、売上増加に導いた。

 

Ⅵ. 業界のリーディングカンパニーとして

菲諾は自社商品の革新と市場拡大だけでなく、業界全体の発展・品質向上のためにも活動している。2023年3月23日、菲諾は中国熱帯農業科学院(CATAS)のココナッツ研究所、およびココナッツ関連事業をもつ企業とともに、ココナッツミルクの生産と品質に関する業界標準を設定することを目的とした「ココナッツミルクグループ標準」を発表した。これは、ココナッツミルク製品の品質管理のための明確なガイドラインを提供するもので、原材料と副原料の要件、有機的特性、物理的・化学的指標、微生物学的基準、製造・加工時の衛生要件などを網羅している。この取り組みを通じて、菲諾はココナッツ関連市場における自社の影響力を強化しただけでなく、ココナッツミルクと関連製品の品質向上と市場の信頼を促進し、業界全体の健全な発展の基礎を築いた。

(図4:菲諾と他企業団体によるココナッツミルクグループ標準を発表)

 

Ⅶ. 菲諾のチャンスと課題

2022年中国飲料業界レポートによると、調査した40の新しいティースタンドブランドのうち、ココナッツミルクを使ったドリンクを扱っているブランドは37にも及び、全体の92.5%にものぼる。また、LeadLeoのレポートによると、ココナッツ飲料市場の市場規模は2026年に213.6億元に達すると予想されている。

菲諾の成長は、商品革新と品質のたゆまぬ追求の結果だ。張凱のリーダーシップの下、菲諾は従来のココナッツ商品の枠に収まるのではなく、様々な消費シーンに対応する新しいココナッツ商品を開発した。

昨今、消費財市場で成功した企業は、BtoBビジネスからBtoCビジネスへのシフトや原材料サプライヤーのブランド化を実現している場合をよくみる。現代の消費者は、商品の表層だけでなく、生産の裏側まで探索し、よりコストパフォーマンスの高く、高品質な製品を見分けられるようになってきている。このような市場行動の変化は、以前は業界の陰に隠れていたBtoB企業にもチャンスをもたらした。

BtoB企業は、サプライチェーンにおける優位性はあるが、それによって強力なブランド力になるとは限らない。彼らは、適切なブランド力・ロイヤルティを築くのに苦労することが多いが、それを一度築けてしまえば、その後は比較的容易だともいえる。一方で、BtoC企業においては、消費者を深く理解し、またその消費者層を拡げる努力が何よりも重要になる。市場の方向性を見失ってもいけない。

菲諾はBtoBとBtoCの両ビジネスに成長の余地があると見ているが、同時に直面する課題も増えるだろう。今後、彼らが両ビジネスのバランスをどのように取っていくかについて、注目していきたい。

 

(日本語編集翻訳 小檜山)

 

发表于2024年4月26日 MUFG バンク(中国)経済週報第640期CDIコラム

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